本研究課題では胆道閉鎖症の病態発生における胆道系組織の変性病理についてアポトーシスを含む細胞動態について検討を行っている。本年度においては、研究計画書に従い、本症疾患患児における肝・胆道系組織の形態学的研究と研究試料の収集・整理を行った。また、平成9年度において新たに胆道閉鎖症ならびに新生児肝炎に関し新患児における臨床経験を積み重ねたので重要な症例として追加研究を行った。 臨床病理学的アプローチとしては、TUNEL法を中心としたアポトーシス検出、PCNA抗体を用いた免疫組織化学的染色については安定したシグナル検出を得た。これまでの研究において胆道閉鎖症の胆道系の組織学的構成が中枢側と末梢側において不均衡な発達変性している点が明らかになった。これらの変化を客観的指標に置き換える検討を開始した。これらの変化は従来の報告に従うと同じく原因不明の先天性肝胆道系疾患であるアラジ-ル症候群あるいは特発性胆汁性肝硬変症においても認められており、その異同をアポトーシスなど細胞動態を指標として検討している。本年度に引き続いてこれらの検索を続けることにより次年度において第一報解析データを公表出来るものと考える。
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