【平成9年度】 (方法) 1.本年度はドナーとしてLewis(RT1^1)ラット、レシピエントとしてACI(RT1^3)ラットを用いた。Lewis-ACIの組み合わせはMHCincompatibleである。 2.小腸移植の方法 : ドナー小腸は開腹後、大動脈より灌流後、空回腸を大動脈カフと門脈を付けて摘出する。レシピエントは空腸上部より回腸末端までを摘出、非摘出の2通りを検討した。グラフト大動脈と門脈をレシピエントの大動脈と下大静脈に端側にて血管吻合した。腸管はグラフト空回腸をストーマとし、摘出群はその肛門側にてレシピエント空調を端側吻合し、回腸は端々吻合した。観察は便性、グラフト腸管の状態により拒絶を判定し、レシピエントの生存日数を生着日数とした。本年は小腸グラフトの門脈ドレナージ法は検討できなかった。 (結果) 1.本年度は無処置群の作成手技の確立を施行錯誤した。ラットの生存日数は1日から7日までの成績が得られているが、正確な拒絶死亡日数の評価は現在困難な状態である。腸瘻の所見では移植後5日目頃より拒絶反応が出現していると考えられた。 2.細胞分離の手技は、すでに確立されmagnetic beads法により各リンパ球のサブセットの分離投与が可能である。 (まとめ) 以上の結果より、今後は移植手技の確実性向上と分離リンパ球の投与および免疫抑制の併用による各実験群の成績が得られるものと考える。
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