研究概要 |
【平成10年度】 (方法) 1. 本年度はドナーとして体重200gのBN(RT1^n)ラット,レシピエントとして体重300gのLewis(RT1^1)ラットを用いた.BN-Lewisの組み合わせはMHC incompatibleである. 2. 小腸移植の方法:ドナー小腸は開腹後,大動脈より灌流後,回腸を大動脈カフと門脈を付けて摘出する.レシピエントの小腸は非摘出の異所性小腸移植のモデルを検討した.グラフトの大動脈と門脈はカフ法にて再建した.レシピエントは開腹後に腎摘出し,腎動脈と腎静脈にグラフト大動脈と門脈を再建した.腸管はグラフト回腸を両側ストーマとした.観察は便性、グラフト腸管の状態により拒絶を判定し,レシピエントの生存日数を生着日数とした.本年はコントロー群,タクロリムス投与群(0.5mg/kg,im)を作成し,移植後,3日目,5日目に,移植腸管を摘出して,免疫学的検索を行った. (結果) 1. コントロール群の腸瘻の所見では移植後5日目頃より拒絶が出現していると考えられた. 2. タクロリムス投与群では腸瘻の粘膜所見は異常無く,明らかに拒絶反応は抑制されていると考えられた. 3. 移植後3日目,5日目の各群の腸管と腸間膜リンパ節を摘出,凍結して免疫組織染色を行った.浸潤リンパ球の検索の為,CD4,CD8,γδ-receptor,activated CD4に対するモノクローナル抗体を用いた. (まとめ) 以上の結果をさらに分析し小腸移植における拒絶反応の免疫学的検索を基にした特異的免疫抑制法の開発が期待される.
|