研究概要 |
1. 実験方法:A/Jマウスに継代培養したC1300マウス神経芽腫細胞(理化学研究所より提供)をl×10^5個、中村の方法に準じマウス背部皮下に移植、移植モデルを作成(2週齢:1群,8週齢:2群)。移植後1,2,3,4週目に腫瘍組織,肝臓,血液を採取(n=10)、以下の測定を行った。 2. 検討事項・測定方法:腫瘍増殖と織中・血清中のSOD活性、一酸化窒素代謝産物(NO_2/NO_3)、過酸化脂質の変動と腫瘍組織内Cu,Zn-SODの局在を検討した。 3. 結果: 腫瘍組織のPBN spin adductsのシグナル強度は移植2週目が最も高く、その後低下した。腫瘍組織中SOD活性は1群は移植後は低く、週の経過で増強したが2群はPBN spin adductsと同様に1,2週と増、その後低下した。腫瘍組織の過酸化脂質は1群が2群より全体的に高く、特に3週で増強した。しかし2群は2週まで低く3週から急増した。腫瘍組織中NO(NO2/NO3)は1群では3週で増加した。2群は1週が最も高く経週的に漸減した。腫瘍組織内Cu,Zn-SODの局在は染色が一定せず、判読不能であった。尚、実施予定であった組織組成の分析については期間中に解析できなかった。 4. 結語: 活性酸素(0_2^-)はNOの存在でONOO^-となりSODの存在で消去される。腫瘍で産生された0_2^-は未熟な1群ではSODの存在が少なくONOO^-が増加、その結果、過酸化脂質が2群よりも各週で高い。2群ではSODが存在し、移植直後から0_2^-が消去される。そのため1,2週でNOが高く、NOにより腫瘍の血管新生が増強される。その結果、酸素が増加し、3週以後はNO+O_2^-からONOO^-が増加、過酸化脂質が増加したと考えられる。
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