研究課題/領域番号 |
09671843
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅原 俊二 東北大学, 歯学部, 助手 (10241639)
|
研究分担者 |
力石 秀実 東北大学, 歯学部, 講師 (70091767)
高田 春比古 東北大学, 歯学部, 教授 (30135743)
|
キーワード | 黒色色素産生菌 / 歯肉上皮細胞 / サイトカイン / 接着分子 / 活性化機構 |
研究概要 |
本年度は以下の研究実績を得た。 1.ヒト歯肉線維芽細胞は主要なエンドトキシン(LPS)レセプターであるCD14の発現に関して多様な細胞集団からなることが明らかとなったが、ヒト歯肉上皮細胞な供試したいずれの細胞にもCD14の発現は認められず、黒色色素産生菌の菌体表層成分は、腸内細菌科のLPSとは異なる機構でヒト歯肉上皮細胞を活性化し、インターロイキン(IL)-8等のサイトカイン産生やリンパ球の接着分子発現を促すことが示唆された。昨年来、LPSのシグナル伝達分子としてToll-like receptor(TLR)分子群の報告があり、高濃度ではCD14非依存性に細胞内にシグナルを伝達することが可能な分子群である。ヒト歯肉線維芽細胞では、このTLR分子群の幾つかの存在を確認した。ヒト歯肉上皮細胞においても黒色色素産生菌の菌体表層成分が直接この分子を介して活性化されることが充分考えられ、この点について研究を行っている。 2. 近年、インターフェロン(IFN)-γを強力に誘導するIL-18の生物学的作用について注目を集めている。今回、ヒト歯肉上皮細胞はIL-18を細胞内におそらく前駆体として保有していることが明らかとなった。今回供試した黒色色素産生菌の菌体表層成分(線毛、LPS画分、糖タンパク等)やサイトカイン(IL-1、IFN-γ等)刺激では、ヒト歯肉上皮細胞からのIL-18の成熟型としての分泌を促すことはできなかった。しかしながら、Fas抗原を介したアポトーシスなど何らかの機構でヒト歯肉上皮細胞内のIL-18が活性化され産生されることにより、免疫担当細胞からのIFN-γ産生を促し、歯周組織での炎症の発症や治癒機転に積極的に関与している可能性が考えられる。この点についても研究を行っている。
|