ウズラ骨髄骨基質の酸性リン酸化タンパクと基質の石灰化との関連性を微細構造学的、免疫組織化学的ならびに生化学的、分子生物学的に調べた。微細構造学的に石灰化過程を観察すると、石灰化開始領域に0.5μm程度の球状構造が存在し、その分布は石灰化球の分布と類似していた。一方stains-all染色で青色に染色される領域と石灰化領域のパターンもよく一致していた。stains-all染色で青色に染まるタンパクを同定するために骨髄骨基質からミネラル相を調製し、SDS電気泳動を行って生化学的に調べた結果、このタンパクは分子量は約60KDでアミノ酸組成、配列がニワトリのオステオポンチンと高い類似性を示した。このリン酸化タンパクは皮質骨に比較して骨髄骨に多量に存在した。分子生物学的にウズラのオステオポンチンmRNAを部分的にクローニングし、石灰化過程での発現量を調べると、石灰化の進行に伴ってオステオポンチンmRNAの発現量が増加していた。ミネラル相から得られたタンパクおよびそのタンパクのアミノ酸配列の一部からペプチドを合成し、それぞれを抗原としてウサギを用いてポリクロナール抗体を作製し免疫組織化学的に骨髄骨基質における局在を調べた。タンパクを抗原として得られた抗体の局在は骨基質ならびに骨構成細胞に認められた。ペプチドから得られた抗体の反応は破骨細胞に陽性および弱陽性反応が骨芽細胞に観察された。以上の結果から、骨髄骨基質にはオステオポンチンが多量に存在し、骨基質形成に伴って増加することが明らかとなった。また、基質における蓄積パターンが基質石灰化のパターンと類似することからオステオポンチンと石灰化の関連性が示唆された。
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