研究概要 |
歯周炎局所に増加するグラム陰性桿菌群は歯周炎の発症に関与している。これらのグラム陰性桿菌群のうち、Porphyromons gingivaslis,Treponeme denticola,Gacteroides forsythus等のタンパク分解活性、P.gingivalis,Actinbacillus actinomycetemcomitansの線毛は重要な病原因子と考えらている。我々は線毛とプロテアーゼを中心とした病原性因子について、分子生物学的なアプローチからその性状と病原性を解析することを試みた。 A.actinomucetemcomitansの線毛については塩基配列の決定を行い、その発現が線毛保有株と線毛非保有株で違っていることを明らかにした。 B.forsythusはその培養が難しいことから、そのタンパク分解酵素の分子生物学的解析はなされていなかった。われわれはB.forsythusの酵素をplasmid vectorにcloningしその性状を解析した。酵素活性は合成基質を用いた解析によりGlycine,ArginineをP2,P1 positionに持つ配列を切断することがわかった。DNAの塩基配列の解析により、本酵素は1,272 bp のopen reading frameによってcodeされるM_r4,7843のcystein proteaseであることが明らかになった。さらにこの酵素はpeptidase活性に加えて、溶血活性を持ち、歯周局所でのFeの遊離に関与していることが示唆された。すでにクローニングに成功している。T.denticolaのタンパク分解酵素dentilisinの遺伝子prtPについては、その病県政と菌体内での生理学的役割を明らかにするために、本酵素の欠損株を同相組み替えによって作成した。組換えによって得られた変異株を解析したところ、outer sheathの主要タンパクにまで変化が認められた。さらに親株に比べ欠損株では疎水性に変化が認められた。今後欠損株を用いた実験によってその宿主組織に対する病原性を明らかにしていきたい。
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