微生物由来のリボソームタンパクS20のアミノ酸配列は、大腸菌、枯草菌等の代表的な菌種のほか、サルモネラ菌等が知られている。しかしながら、本研究で注目している口腔内グラム陽性菌であるStreptococcus属の本タンパク質のアミノ酸配列はいまだ発表されていない。そこで、前述した細菌のリボソームタンパクS20のアミノ酸配列のなかで、比較的良くアミノ酸配列が保存されている領域に対応する複数のオリゴマーDNAを合成し、大腸菌、枯草菌、そしてStreptococcus mutans、Streptococcus gordonii、およびStreptococcus sobrinusの染色体を抽出し、それらを鋳型としてPCRを行った。大腸菌、枯草菌等の代表的な微生物のリボソームタンパクS20のアミノ酸配列は、このタンパク質が必須なものであるにもかかわらず、全体での類似性は意外と低く、大腸菌、枯草菌では予想されたサイズのPCR産物が電気泳動にて観察されたが、口腔内細菌からは予想されたサイズのPCR産物がえられなかった。今日、米国オクラホマ大学よりStreptococcus pyogenesのゲノムの塩基配列が非公式ながら公開されているので、本菌のリボソームタンパクS20をコードする遺伝子を基としてさらにオリゴマーDNAを合成しPCRを続行する予定である。
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