研究課題/領域番号 |
09671875
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
笹川 一郎 日本歯科大学, 新潟歯学部, 助教授 (00095134)
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研究分担者 |
赤井 純治 新潟大学, 理学部, 助教授 (30101059)
石山 巳喜夫 日本歯科大学, 新潟歯学部, 講師 (70120607)
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キーワード | 歯 / エナメロイド / 硬骨魚類 / 石灰化 / 酵素組織化学 |
研究概要 |
硬骨魚類真骨類のテラピア類の咽頭歯の歯胚を材料に、微細構造の観察および非特異的ALPaseと同ACPaseについての酵素組織化学を行い、次のような結果を得た。 1)ALPaseはエナメロイド石灰化期から成熟期前・中期の内エナメル上皮細胞の遠心端を除く細胞壁に明瞭な活性が見られ、特に成熟期で強くなった。この部分の反応は内エナメル上皮細胞に鉄が沈着して黄色から赤色になるにしたがい消失し、成熟期後期では見られなくなる。一方、外エナメル上皮細胞では形成期初期と成熟期後期を除きALPaseの反応は見られなかった。また、歯胚を取り巻く結合組織と毛細血管壁は常にALPase陽性である。象牙芽細胞とエナメロイド基質中の基質小胞および歯乳頭細胞と基底部形成端周囲の基底部形成細胞の細胞膜にもしばしば中程度の反応が見られる。テラピアのALPaseの局在はネコザメやヒラタエイの場合と出現する部位はほぼ同じだが、時期がエナメロイド形成期から石灰化期に強く現われるネコザメやヒラタエイとは異なり成熟期に強くなる。 2)ACPaseの反応は内エナメル上皮細胞では石灰化期から遠心側細胞質に陽性顆粒が多数出現し、成熟期に入ってそれらはさらに明瞭となり成熟期後期に入っても顕著である。ACPase陽性部位は形態学的に認められるライソゾーム様顆粒や小胞、空胞と一致する。象牙芽細胞と歯乳頭細胞には特にエナメロイド石灰化期以降、すなわち象牙質形成期に入ると陽性顆粒が観測されるようになる。テラピアのACPaseの局在傾向ははネコザメよりは哺乳類に近い。 以上の所見はテラピアの内エナメル上皮細胞はエナメロイド石灰化期から成熟期にかけて活発な物質輸送を行い、エナメロイド基質の分解・脱却に深く関与していることを示唆している。
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