破骨細胞の接着装置としてはアクチンがドットからリング状に分布するpodosomeが細胞の運動性を規定していると考えられている。一方、ガラス面上で培養したマクロファージやウイルスで形質転換した線維芽細胞のガラスに面した細胞膜には細胞骨格をともなう接着装置としてのフォーカルコンタクトの他にclathrin sheetが出現することが報告されておりリセプターを介したエンドサイトーシスに関わるクラスリンが何らかの形で初期の細胞接着に関与する可能性が指摘されている。ガラス面上で培養した破骨細胞には膜のもう一つの分化形態である刷子縁は作らないが接着装置として共通なpodosomeがin vivoまたは骨面上で培養した破骨細胞に形成される。一方破骨細胞自体は活発なエキソサイトーシスと同様にclathrinを介したエンドサイトーシスが細胞活動の一環として行なわれておりガラス面上で培養した破骨細胞にもclathrinの出現が予想される。破骨細胞の強固な接着の大部分はpodosomeによって行われこのことはアクチンのファロイジイン蛍光染色によって明らかである。しかし破骨細胞の培養初期にガラスに面した細胞膜面には超薄切片像として特有のハニ-コ-ム構造が存在することが明らかとなった。電子顕微鏡試料作製法のうち急速凍結固定を用いると能率よくこの種の構造保存をすることができた。主に細胞周辺部に存在し一部核領域の直下の細胞膜にも存在しこれらの構造とpodosomeはほとんど共存することはなかった。Clathrinのheveay chain抗体を用いた蛍光抗体染色によってもclathrinを証明することができた。平成10年ではこの種の膜面の細胞骨格を伴わない構造が化学的、機械的な細胞膜破壊に抵抗する構造なのかどうか急速凍結レプリカ法を用いて超微構造レベルで解明するつもりである。
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