研究概要 |
1.調製した複数の培地上で形成された集落由来のスピロヘータは、培地成分の差異を反映せず、類似した形態および生物学的性状の菌種に限定されたころから複数種の分離培養を目的とする実験に適合したものではなかった。 2.顕微マニプユレータ法あるいは免疫磁気法による歯垢材料からのスピロヘータの単離は、材料の分散状態、使用する抗血清による制限、回収過程における菌数の減少など、PCR法による増殖までに解決すべき課題が残った。 3.従来の菌種(Treponema denticola,T.socranskii,T.vincentii,T.pectinovorum,T.medium)の増幅鞭毛遺伝子(FlgE)のRFLP分析で菌種の特異性を示す実験条件を確立した。 4.本研究では、患者の歯垢材料中の微量なスピロへ-タを分離培養し、それらの菌体の遺伝子を鞭毛遺伝子プライマーを用いPCR法で増幅して得られる遺伝子の特性からスピロヘータの分子遺伝学的分類に繋がる知見を得ることを目的とした。当初の研究計画では歯垢材料から培地による菌種の分離・培養を行い、得られた菌種についてそれぞれの鞭毛遺伝子について分析を行うことを計画したが、上記の1および2の如く解決すべき課題が残った。そこで、患者の歯垢材料(複数種のスピロータを含む)からDNAを直接調製することとし、得られるPCR産物についての解析を行うことを今後の研究の中心としたい。上記3の単独種由来の遺伝子パターンとの比較検討を行うとともに、スピロヘータ以外の有鞭毛細菌の混在の影響の程度も検討したい。
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