日本人の下顎第1大臼歯の遠心根の根管数が2根管のヒト(Sinodont)と1根管のヒト(Sundadont)との間で、他の歯の大きさや形質に違いがあるのか否かを探る目的で本研究を進めている。 平成10年度は平成9年度と同様な方法により研究材料を収集し、一部の材料について計測や歯の形質を調べた。 その結果、歯の大きさについては未だ有意性の検定までには至っていないが、2根管グループの方が1根管グループより大きい傾向がみられた。特に、犬歯、小臼歯、第2大臼歯においてその傾向が強かった。これは、過去に報告された上顎第1小臼歯の2根管グループと1根管グループとの間の頬舌径の差と類似した結果であり、現在のところSinodontとSundadontの二つのグループに対応したものであると推測している。 また、上顎中切歯のジャベル型の出現率、上顎第1小臼歯の介在結節の出現率、上顎第1大臼歯のカラベリー結節の出現率、下顎第1大臼歯の屈曲隆線の出現率および下顎第2大臼歯の咬合面溝のX型の出現率などにも二群間に差があるように見受けられた。
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