日本人の起源については、今日まで諸説が主張されている。現在、もっとも有力な説は、埴原(1991)が提唱した二重構造論仮説である。 この研究は、TurnerがSinodontとSundadontにグループ分けした歯の形質のうち、日本人の下顎第一大臼歯の遠心根の根管数に注目し、1根管と2根管のグループ間で、他歯の形質や大きさに違いがあるのか否かを確認した。 形態学的には、上顎中切歯のシャベル型の発達程度が、2根管のグループで1根管のグループより発達良好であることが明らかになった。また、下顎第1大臼歯を除く他歯の大きさは、2根管グループと1根管グループの間で、歯種、計測部位により差が認められた。
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