日本人の歯の大きさや形態を比較検討するには、日本人集団の二つの流れすなわちSinodontとSundadontを考慮しなければならないのが現状である。今回は、下顎第1大臼歯の遠心根の根管数(根管口数)に着目して、1根管群と2根管群に分けてこれらの群間で歯の大きさや形態に差があるのか否かを調査し、日本人集団を歯の形態からSinodontとSundadontに分類する基礎資料を得る目的でこの研究を行った。 1.日本人男性において1根管群と2根管群の間に有意差が認められた歯種は、歯冠幅で上・下顎側切歯、上顎犬歯であった。歯冠厚で両群間に有意差が認められた歯種は、上顎第1、第2小臼歯と下顎中切歯であった。 2.日本人女性においては、すべての歯種で両群間に有意差が認められなかった。 3.2根管を有する群における歯冠幅の性差は、下顎犬歯に認められた。また、この群の歯冠厚の性差は、上・下顎中切歯、下顎側切歯、上・下顎犬歯、上・下顎第1臼歯、上顎第2大臼歯に認められた。したがって、歯冠幅よりも歯冠厚に多く性差が認められた。 4.1根管を有する群における歯冠幅の性差は、上・下顎の中切歯、側切歯および犬歯に認められた。また、この群の歯冠厚の性差は、上・下顎の犬歯、第2大臼歯に認められた。 5.上顎切歯のシャベル型の出現率は、2根管群で1根管群より高かった。
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