研究概要 |
本研究では、ヒトの口腔における歯原性病変の成り立ちを明らかにする目的で、器官培養を行ったマウスの歯胚におよぼす細胞増殖因子のTGF-αおよび発癌性へテロサイクリックアミンのTrp-P-2とMeIQxの影響を組織学的ならびに免疫組織化学的(BrdU法)に検索した。実験は、次の4実験(I-IV)に分けて行った。実験I.I-A群(BGJb群:6日)、I-B群(TGF-α(200ng):6口群)。実験II.II-A群(DMSO:6日群)、II-B群(Trp-P-2(1μg):6日)、II-C群(MeIQx(10μg):6日群)。実験III.III-A群(TGF-α(200ng)+Trp-P-2(1μg):6日群)、III-B群(TGF-α(200ng)+MeIQx(20μg):6日群)。実験IV.IV-A群(Trp-P-2(1μg):4日+TGF-α(200ng):2日群)、IV-B群(Trp:P-2(100μg):4日+TGF-α(200ng):2日群)。上記の4実験の各群を病理組織学的および免疫組織化学的(BrdU法)に検索した。本研究の結果から,マウスの培養歯胚では細胞増殖因子のTGF-αは歯胚の上皮細胞の分化を抑制するが,上皮細胞の増殖を著しく促進することが推測された。また,発癌性へテロサイクリックアミンのTrp-P-2とMeIQxは歯胚の上皮細胞の増殖を抑制することが推測された。さらに,本研究の結果から,ヒトの口腔に生じる歯原性腫瘍や歯原性嚢胞の発生には細胞増殖因子のTGF-αが大きく関与していることが推察された。
|