研究概要 |
Wistar系雄ラットを用い上皮小体を摘出し,全血清Ca濃度が正常平均値の70%以下に低下しものを使用した。全血清Ca濃度が低下した一部にvitaminD_3の投与を行い、味蕾を含む舌乳頭の上皮細胞と支配神経の動態を検索した。 観察は,パラフィン切片,凍結切片にて、H・E、PAS、ATPaseおよび免疫組織化学染色を行った。一次抗体はPCNA,PGP9.5,CGRP,SubstanceP(SP)を使用した。特にこれらの免疫染色を定量的に検索する手法の検討を画像解析装置にて行った。一部は電顕観察を行った。 1)上皮小体の検出で、見蕾細胞内にPAS陽性顆粒の蓄積がおこり味蕾細胞の機能低下が確認され、さらにATPase活性も、溝面上方部から低下するという新知見が得られた。 2)免疫組織化学染色での定量化は,固定,一次抗体の希釈濃度,DAB発色時間を可能な限り統一化し,画像解析装置「CAS200 Image Analyzer(CAS)」で陽性反応を面積または染色強度で計測した。特に神経組織の定量化は,場所による切片の方向性を統一することで可能であるであることが確認された。 3)PGP9.5陽性線維の変化:上皮内の陽性線維は,上皮表層まで存在し,生後6週と生後8週で有為差が認められた。また、陽性線維の変化は、全血清Ca濃度の変動に連動してた。 4)CGRP, SP陽性線維の変化:CGRP, SP陽性線維は,全血清Ca濃度の低下にともない,上皮内の陽性反応が完全に消失し,全血清Ca濃度の回復するとこれらの陽性線維の回復が確認された。 以上のことから,ラット舌乳頭上皮のCGRP、 SP陽性線維は、知覚神経としての作用とともに、味蕾を含む乳頭上皮の機能維持としての栄養神経的要素が強く、特にCGRP陽性線維は、舌乳頭の血管維持に主として作用していることが示唆された。
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