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1998 年度 実績報告書

歯周病原性細菌感染細胞アポトーシスにおけるIL-1β変換酵素の役割の解析

研究課題

研究課題/領域番号 09671885
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

西原 達次  国立感染症研究所, 口腔科学部, 室長 (80192251)

キーワード歯周病原性細菌 / 歯周炎 / アポトーシス / インターロイキン-1β / カスペース
研究概要

カスペースファミリーメンバーのcaspase-1(ICE)とcaspase-3(CPP32/apopain)は哺乳動物細胞におけるアポトーシス制御タンパクとして注目されている。昨年度の研究で、A.actinomycetemcomitans感染マクロファージでアポトーシスが誘導される際に、これらのシステインプロテアーゼが重要な役割を果たしている可能性を報告した。そこで、本年度は、それぞれの酵素の特異的阻害剤であるcaspase-1阻害剤Z-VAD-FMKとcaspase-3阻害剤DEVD-FMKを用いて、感染マクロファージの致死活性の変化を調べた。感染させたJ774.1細胞の培養系にZ-VAD-FMKおよびDBVD-FMKを添加すると、細胞死が著しく抑制された。さらに、アポトーシス細胞の検出系(フローサイトメトリーでの解析、DNAアガロース電気泳動、ヘキスト染色後の核の形態観察)で確認したところ、両阻害剤により感染細胞のアポトーシス発現が抑制されていることが明らかとなった。一方、マクロファージの培養上清中のL-1β量をELISAで測定したところ、A.actinomycetemcomitansを感染させることにより、L-1β産生が亢進することが明らかとなった。さらに、Z-VAD-FMKの添加によりIL-1βの産生は著しく減少した。このことから、感染マクロファージの細胞内のcaspase-1はアポトーシス発現およびIL-1βの産生に深く関っていることが示唆された。次に、感染細胞内のcaspase-3の酵素活性を測定した。感染マクロファージでは、caspase-3の酵素活性の亢進が認められたが、DEVD.FMKを感染細胞の培養系に添加することにより細胞内のcaspase-3の酵素活性は著しく減少した。さらに、caspase-3により分解される細胞内タンパクRbを調べたところ、感染マクロファージではcaspase-3に特異的な部位で切断されていた。しかし、DEVD-FMKを添加することで、この切断は完全に阻害された。以上の結果から、A.actinomycetemcomitansを感染させたマクロファージに発現されるアポトーシスでは、細胞内のcaspase-1とcaspase-3が重要な役割を果たしていることが強く示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Nonaka,K.et al.: "Possible involvement of protein kinase C in apoptotic cell death of macrophages infected with Actinobacillus actinomycetemcomitans" FEMS Microbiol. Lett.159. 247-254 (1998)

  • [文献書誌] Hayashida,H.et al.: "The differentiation of clinical isolates of Actinobacillus actinomyatemcomitans by using insertion sequence ISAa1" Oral Microbiol. Immunol.13. 120-123 (1998)

  • [文献書誌] Okahashi,N.et al.: "Caspases(interleukin-1β-converting enzyme family proteases)are involved in the regulation of survival of osteoclasts" Bone. 23. 33-41 (1998)

  • [文献書誌] Nakashima,K.et al.: "Two different antigens of Actinobacillus actinomycetemcomitans recognized by high-responder patients" J. Med. Microbiol.47. 569-575 (1998)

  • [文献書誌] Ohguchi,M.et al.: "Actinobacillus actinomycetemcomitans toxin induces cell-cycle arrest in the G2/M phase and apoptosis" Infect. Immun.66. 5980-5987 (1998)

  • [文献書誌] Ueda,N.et al.: "Involvement of prostaglandin E2 and interleukin-1α in the differentiation and survival of osteoclast induced by lipopolysaccharide from Actinobacillus actinomycetemcomtans Y4" J. Periodont. Res.33. 509-516 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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