研究概要 |
三叉神経節細胞ならびに味細胞に発現しているグルタミン酸レセプターを同定し、その機能を明らかにするために実験を行い、以下の項目で進展を見た。 1)三叉神経節に発現しているグルタミン酸レセプターサブユニットの同定とその機能 三叉神経節に発現しているグルタミン酸レセプターサブユニットを、ラットの三叉神経節からRNAを抽出後、グルタミン酸レセプターのサブユニット(GluR1-4, 5,6,7,KA1&2)に特異的なプライマーを用いて、RT-PCR法により検索したところ、すべてのサブユニットの発現が見られた。そこで次に、ラットより分離した三叉神経節細胞で、パッチクランプ法と急速潅流法を併用して、生理・薬理学的な性質の検討から、機能的に発現しているグルタミン酸レセプターの同定を試みた。その結果、グルタミン酸電流は小型(<20μm)の細胞のみから記録されること。カイニン酸型グルタミン酸レセプターに特異的に作用するConcanavalin AとWGAは有効であったが、AMPA型受容体に有効であるcyclothiazideやaniracetamは無効であった。さらに、電圧-電流曲線、チャネルコンダクタンスの解析結果から、GluR5/KA-2のheteromericなサブユニット構成をとっていることが示唆された。 2)舌表面に発現しているグルタミン酸レセプターサブユニットの同定 ラット舌表面において、作成したmGluRサブタイプ(mGluR1,2/3,4,5,7)に特異的な抗体を用いて、その分布を検討した。その結果、味細胞にはmGluR4が強く発現していることが明らかとなった。そこでさらに一歩進めて、現在、電子顕微鏡により、その詳細な分布を検索し、mGluR自体が"うまみ"の受容体自体であるのか、あるいは、味細胞と1次神経線維のシナプス部位に存在し、シナプス前抑制を行っているかを明らかにすることを、試みている。
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