研究概要 |
本研究では,軟骨細胞においてコラーゲン線維や他の接着分子に結合して,細胞と細胞外との間のシグナル伝達などに関与し細胞機能を制御している可能性を持つ新しい蛋白としてRGD-CAP(RGD-containing collagen-associated protein)と命名した64-66kDa蛋白に注目し、その構造解析および機能解明を行ってきた。これまでブタ軟骨細胞よりコラーゲン結合性蛋白として単離されたRGD-CAPの部分アミノ酸配列はヒトで見いだされたTGFβ誘導性の蛋白(βig-h3)と類似性が高い事が判明したのでこの塩基配列に基づきPCRプライマーを設計し、ブタ軟骨細胞由来のmRNAを用いRT-PCR反応によるcDNA断片を得、これをプローブとしてブタおよびニワトリ軟骨細胞cDNAライブラリィからそれぞれ完全長のcDNAを得、それらの全構造を決定している。これまで構造解析から、この分子種の一次構造はヒト、マウス、ブタ,ニワトリで非常に高く、この分子が生体において重要な未知の機能を持っている蛋白であることを示している。これらのcDNAを用いて大腸菌での発現系で大量の発現蛋白を得ることにも成功している。 今後、これらのcDNAや発現蛋白を用いて主にブタ、ウサギ、およびニワトリの肋軟骨及び肋軟骨細胞培養系について以下のような手順で研究を進める予定である。 1.発現蛋白に対する抗体を作製し、免疫染色による組織分布について調べる。 2.発現蛋白とコラーゲンやその他の細胞外基質分子との結合性の相互作用を調べる。 3.発現蛋白をコラーゲンなどと組み合わせて培養容器をコートしたものへの軟骨細胞の接着性を調べる。 4.他の様々な増殖因子などによるRGD-CAP分子の調節機構について検討する。
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