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1998 年度 実績報告書

顔面神経の逆行性変性に伴うカテプシンEのミクログリア内誘導機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 09671898
研究機関九州大学

研究代表者

中西 博  九州大学, 歯学部, 助手 (20155774)

研究分担者 山本 健二  九州大学, 歯学部, 教授 (40091326)
キーワード初代培養ミクログリア / LPS / INF-γ / PC12細胞 / カスパーゼ3 / Bcl-2 / アポトーシス / ネクローシス
研究概要

今年度はLPS/INF-γにより活性化させた初代培養ラットミクログリアがNGFによりニューロンに分化させたPC12細胞に対してどのような影響を与えるのかを検討した。活性化ミクログリアとPC12細胞の共存培養を行った結果、多くの系でアポトーシスの実行因子として働いているカスパーゼ3様酵素の活性化をともなってPC12細胞の細胞死が誘導された。形態観察では、大部分のPC12細胞内にTUNEL陽性の断片化した核が観察され、典型的なアポトーシスの形態を呈していた。そこで、カスパーゼ3の阻害剤Ac-DEVD-CHOの前処理を行うと、核はTUNEL陰性となりアポトーシス様の形態は抑制されたが神経突起の委縮や細胞質内での空胞の蓄積など依然として細胞障害が観察された。定量的解析を行うと、Ac-DEVD-CHOはカスパーゼ3様酵素の活性は完全に抑制したが細胞死は一部しか抑制しないことが分かった。次に、カスパーゼ3の活性化を抑制することが知られているBcl-2過剰発現の影響を検討した。PC12細胞におけるBcl-2の過剰発現は栄養因子除去によって誘発される細胞死は有意に抑制したが、活性化ミクログリアによって誘発される細胞死には全く影響を及ぼさなかった。形態観察を行うと、大部分のコントロールのPC12細胞はアポトーシス様の形態を示し、ミクログリアにより貪食された。ところが、Bcl-2を過剰発現させたPC12細胞ではAc-DEVD-CHOを前処理した細胞と同様にアポトーシスとは明らかに異なった細胞障害の形態が観察された。電顕観察を行うとコントロールのPC12細胞では核クロマチンが一様に凝縮し断片化した核を有するアポトーシス小体が観察され、一部はミクログリアにより貪食されていた。一方、Bcl-2を過剰発現させたPC12細胞では核クロマチンは軽度に凝縮されていたが、明らかにアポトーシス細胞の核とは異なっており、細胞小器官の著明な障害ならびに空胞の蓄積が観察されネクローシス様の細胞死であることが判明した。以上の結果より、活性化ミクログリアはカスパーゼ3依存性のアポトーシスを誘導する経路ならびにカスパーゼ3非依存性のネクローシス様細胞死を誘導する経路を起動させることが明かとなった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Takai, N. et al.: "Involvement of caspase-like proteinases in apoptosis of neuronal PC12 cells and primary cultured microglia induced by 6-hydroxydopamine." J. Neurosci. Res.54. 214-222 (1998)

  • [文献書誌] Tominaga, K. et al.: "Excitotoxin-induced neuronal death is associated with response of an unique intracellular aspartic proteinase cathepsin E." J. Neurochem.71. 2574-2584 (1998)

  • [文献書誌] Nakanishi, H. et al.: "Hyperexcitability of amygdala neurons of senescence-accelerated mouse P10 revealed by electrophysiological and optical recordings in an in vitro slice preparation." Brain Research. 812. 142-149 (1998)

  • [文献書誌] Yamamoto, Y. et al.: "Expression of NMDA-receptor dependent long-term potentiation in the neostriatal neurons in an in vitro slice after ethanol withdrawal of the rat." Neuroscience. (in press). (1999)

  • [文献書誌] Fukuda, T. et al.: "Novel non-apoptotic morphological changes in neurons of the mouse hippocampus followin transient hypoxic-ischemia." Neurosci. Res.(in press). (1999)

  • [文献書誌] Wang, H. -D. et al.: "Differential effect of Bcl-2 overexpression on hippocampal CA1 neurons and dentate granule cells following hypoxic-ischemia in the adult mice." J. Neurosci. Res.(in press). (1999)

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公開日: 1999-12-13   更新日: 2016-04-21  

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