研究概要 |
本研究においては、破骨細胞の分化に伴って発現するシグナル分子を単離し解析することを目的とした。まず、骨髄細胞からストローマ細胞を除き、この細胞をラット骨芽細胞様細胞ROS17/2.8の培養上清を熱処理したもの(htROSCM)と活性型ビタミンD3の存在下あるいは非存在下で4日間培養しPOCsを誘導した。さらに、POCの分化誘導の効率を上げる条件を検討した。即ち、上記の培養系にIL-15,IL2,IL7,M-CSFやTNFαを添加した。その結果、IL-15,M-CSFやTNFαがPOCの分化誘導を促進したが、TNFαを添加した場合がその効率が最も高い(全細胞の80%位まで分化誘導した)ことが判明した。そこで、htROSCMとTNFαあるいはTNFαのみ(この条件下ではPOCは形成されない)の条件下で分化誘導した細胞からRNAを抽出した。これらのRNAからチロシンキナーゼの活性部位をもとにデザインされたprimerを用いてcDNA合成を行った。このcDNAを用いてチロシンキナーゼの活性部位をもとにデザインされた2つのprimersを用いてPCRを行った結果、2つのバンドが検出され、PCRでの解析の結果、一つは、レセプター型チロシンキナーゼ(TKR)で、一つは細胞内のチロシンキナーゼであると考えられた。そこで、TKRについてPCRのバンドをpT7-Blueベクターにクローニングし、その塩基配列の解析を行っている。これらの配列のなかから分化誘導した時にのみ発現するものの選択を行い、さらにgene bankとのホモロジーサーチを行い、破骨細胞系列に特異的なTKRを現在解析中である。
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