研究概要 |
SNARE仮説では分泌顆粒膜と細胞膜にv-SNARE,t-SNAREとよばれる受容体蛋白質が存在し、それらが複合体を形成することで両膜がドッキング・融合すると考えられている。私は最近、耳下腺細胞でもSNARE複合体が形成されることを明らかにしたが、耳下腺には脳タイプのt-SNAREが存在しないためt-SNAREは未同定である.ラット耳下腺t-SNAREの検出・同定を試みた. 1、RT-PCR法によるシンタキシン遺伝子の発現確認 ラット脳と耳下腺腺房細胞からグアニジンチオシアネート法で全RNAを抽出し、タカラのPCRキットを用いRT-PCRを行った。使用したプライマーは、ラットのシンタキシン1と4、SNAP-25およびヒトのSNAP-23のmRNAの塩基配列からヴァーチャルゲノムセンターのコンピューターを用いて設計した。その結果、脳ではシンタキシンの1と4およびSNAP-25の発現が確認されたが、耳下腺ではシンタキシン4のみ検出された.また、脳・耳下腺ともSNAP-23の発現を確認することはできなかった。 2、シンタキシン4およびSNAP-23のペプチド抗体の調製 ラットのシンタキシン4とヒトSNAP-23のN末およびC末の15アミノ酸残基からなるペプチドを合成し、KLHとコンジュゲートしたものウサギに免疫し、抗血清をえた。血清から特異抗体をアフィニティー精製し、免疫ブロット法で耳下腺蛋白質との反応を調べたところ、シンタキシン4の抗体は特異的に反応したが、SNAP-23の抗体には特異的な反応が見られなかった。SNAP-23の抗体は、神戸大学医学部の田守義和博士より供与を受けることが出来た。これらの抗体を用い各タンパク質の発現と相互作用を調べたところ、耳下腺でシンタキシン4、SNAP-23の発現およびその相互作用が認められた。
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