研究課題/領域番号 |
09671903
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
東城 庸介 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (90111731)
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研究分担者 |
根津 顕弘 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (00305913)
谷村 明彦 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (70217149)
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キーワード | 耳下腺細胞 / 細胞内カルシウムイオン / Ca^<2+>ウェーブ / イノシトール1,4,5-三リン酸 / イソプロテレノール / β受容体 / イメージング |
研究概要 |
1. 膜透過性細胞を膜結合性Ca^<2+>蛍光色素(Calcium Green C_<18>)でラベルし、Caged IP_3の光分解によって惹起されるストアからのCa^<2+>放出パターンを画像解析装置を用いて観察した。低濃度のIP_3(〜0.2μM)の解離は腺腔膜の近傍から細胞全体に広がるCa^<2+>ウエーブ様の反応を起こした。このcaged IP_3による反応はタプシガージンでCa^<2+>ポンプを抑制した細胞でも観察された。一方、高濃度のIP3(〜4μM)の解離は細胞全体で同時にCa^<2+>放出反応を起こした。以上の結果から、腺腔膜近傍のCa^<2+>ストアは基底側よりもIP3に対する感受性が高いことが示唆された。 2. 耳下腺腺房細胞のCa^<2+>分布に対するイソプロテレノール(ISO)の効果を調べた。アミラーゼの最大分泌を刺激する0.1-10μM ISOは細胞内Ca^<2+>の分布に全く影響を与えなかった。高濃度(100μM)のISOは有意な[Ca^<2+>]iの上昇を引き起こした。この反応はβ遮断薬であるブロプラノロールでは全く影響を受けず、α遮断薬であるフェントラミンによって強く抑制された。この結果から、β受容体の活性化は腺房細胞のCa^<2+>動員を刺激しないことが示唆された。 3. 耳下腺腺房細胞にCl^-蛍光指示薬SPQを取り込ませ、受容体刺激による細胞内Cl^-の分布変化をモニターした。Ca^<2+>動員性アゴニストであるカルバコールやサブスタンスPは細胞内Cl^-濃度の速やかな低下、すなわち細胞外へのCl^-の放出を起こした。しかし、Cl^-分布の変化は細胞全体で同時に惹起され、ウエーブ様の反応は認められなかった。SPQの蛍光変化はβ受容体刺激によってもしばしば惹起され、Cl^-分布の変化とCa^<2+>動員との関係についてはさらなる検討が必要である。
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