研究概要 |
(1)日本大学松戸歯学部附属歯科病院で,カルシウム拮抗薬の服用によって歯肉肥厚を発症した患者及び発症しない患者から,外科的処置によって得られた歯肉を,すでに報告した方法(Fujii et al,1994;1995)により処置し,それぞれの歯肉由来線維芽細胞(HGFr及びHGFn)を得た。 (2)HGFr及びHGFnの5×10^7個の細胞をホモジネートし,2.5×10^5個の細胞を分取し,それぞれニフェジピン,ブラジキニン,またはIL-1α存在下に[γ^<32>P]ATPと1,2,3,5,10,20,30,および60分間,37℃にて反応させた。アプロチニンを加えて反応を停止させ,反応液中に形成されたリン酸化蛋白質を同定した。リン酸化蛋白質の同定には,1次元および2次元ゲル電気泳動を用いた。その結果,ニフェジピン,ブラジキニン,またはIL-1αいずれにおいても,対照と比較して特定のリン酸化蛋白質の増加が認められた。(未発表) (3)ニフェジピンの薬理作用の一つに,cAMPの分解酵素であるホスホジエステラーゼを阻害することが,肝細胞を用いた実験で明らかにされている。そこで,ニフェジピンによるこの作用がHGFでも存在するか否かを確認する実験を行った。HGFにおいて,イソプロテレノールを作用させることによりcAMPは増加し,プロプラノロールを前処置することによりcAMPの増加は抑制されたので,HGFにもβ受容体が存在することが確認できた。また,ニフェジピンを前処理することによりイソプロテレノールによるcAMP量が増加した。従って,ニフェジピンにはcAMPを増加させる作用があると思われる。(第39回歯科基礎医学会) (4)IL-1αおよびbFGFのHGFにおける細胞内情報伝達に対する影響を検討した。その結果IL-1αは細胞内bFGFを増加させたが,bFGF自身ではその作用を認めなかった。(第27回日本薬理学会総会)
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