1.耳下腺ARFのキャラクタリゼーション ラット耳下腺腺房細胞の細胞質と膜画分に存在する低分子量GTP結合タンパク質を[α-^<32>P]GTP blottingにより検出した。その結果20.5kDaの低分子量GTP結合タンパク質は主に細胞質に存在することが明らかになった。抗ARF抗体を用いたウェスタンブロッティング法によりこの分子種はARF1であることを確認した。副腎のクロマフィン細胞においてはARF6が分泌顆粒に局在し、開口放出に関与することが報告されているが、ラット耳下腺腺房細胞においてはARF6は検出できなかった。 2.耳下腺ARFと分泌顆粒との相互作用 ARFはGTPまたはGDPと結合した状態で存在しGTPと結合した状態でのみ活性をもつと考えられている。そこでGTP/GDPの非水解アナログであるGTPγS/GDPβSを用いてARFと分泌顆粒との相互作用を検討した。その結果GTP結合型ARF1は細胞質から分泌顆粒へと移行することが明らかになった。またこのときARF1は分泌顆粒膜上に存在するARFの活性化因子(GDPを結合した不活性型ARFをGTPを結合した活性型ARFに変換する因子)によりGTP結合型に変換されることが示唆された。 3.コートタンパク質と分泌顆粒との相互作用 ラット耳下腺腺房細胞の細胞質にはクラスリン被覆小胞のコートタンパク質であるγ-adaptinや非クラスリン被覆小胞のコートタンパク質であるζ-COPが存在することを確認した。これらのタンパク質はGTPγS存在下で細胞質画分から分泌顆粒へと移行した。特にγ-adaptinについては、トリプシン感受性のγ-adaptin receptorが分泌顆粒上に存在することが示唆されたので、このγ-adaptin receptorが分泌顆粒の生成に関与するか否かについて検討を進めている。
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