研究概要 |
植物化学療法を歯科医学に応用したより安全な新規抗齲蝕薬・抗歯周病薬の創薬研究として、平成9〜10年度の研究成果に基づいた一連の研究を展開した結果、 (1)薬理活性フラボノイドの作用機序として、抗齲蝕活性緑茶カテキン類と抗菌活性フラバノンの細胞膜流動性低下作用を解明した(Pharmacol.,59,1999;Phytomed.,印刷中)。 (2)化学的プラークコントロールの対照として、クロルヘキシジンの口腔内保持性と比較しながら緑茶カテキンの抗齲蝕作用を評価した(Caries Res.,33,1999)。 (3)様々な食用植物のコラゲナーゼ阻害活性を検索して、タマネギ外皮のフラボノイド性成分に活性を見い出した。現在、抗歯周病薬の創薬を目指した研究を展開中である。 (4)薬理活性β―カルボリンアルカロイドに関し、HPLC分析法を開発して特異的な高感度定量を可能にした(Phytochem.Anal.,10,1999;Chem.Pharm.Bull.,47.1999)。 (5)ヒト血中の(+)―カテキンと(-)―エピカテキンの選択的HPLC定量法を確立して、経口投与後の薬物動態学的解析を行った(Anal.Pharmacol.,印刷中)。 (6)機能性食品・調味料にまで活性検索を広げて、醤油にヒト血小板凝集抑制作用を見い出し、活性成分の抗血栓薬としての可能性を追究(J.Agric.Food Chem.,47,1999)。 (7)植物性β―カルボリンアルカロイドの膜作用とヒト生体内代謝の解析から、麻酔薬との相互作用や小児自閉症への関与の可能性を見い出した(Med.Hypotheses,印刷中)。現在、飲酒と密接に関係するβ―カルボリンの歯科薬物効果への影響に関する研究を展開中である。
|