研究課題/領域番号 |
09671917
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
吉野 教夫 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (70220704)
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研究分担者 |
大林 尚人 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (40176988)
倉林 亨 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (60178093)
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キーワード | 耳下腺 / 放射線損傷 / 磁気共鳴撮像法 / 磁化移動 / フッ素 / アミラーゼ |
研究概要 |
加速過分割照射法(CHART)による耳下腺損傷について、モデル実験系により検討した。耳下腺損傷の検出にあたって、磁気共鳴画像(MRI)装置を用いて、(1)CHARTによるラット耳下腺の、自由水プロトンと高分子結合プロトンとの間の磁気移動の変化(Magnetization Transfer Contrast、MTC)と(2)CHARTによる損傷耳下腺の糖代謝の変化を画像化した。これら、(1)、(2)と耳下腺の損傷とを定量的に評価するため、ラット耳下腺にX線照射後、損傷した耳下腺由来の血清アミラーゼ活性、尿中に排泄された層アミラーゼ活性ならびに耳下腺に残存している総アミラーゼを経時的に測定した。 MTCの検出に用いるパルスシーケンは、グラディエントエコー法あるいはFISP法が優れていることがわかった。血清アミラーゼ活性は、耳下腺照射12時間後から経時的に高くなり、照射20時間後に最大値を示した。線量の大小による最大値発現の時期に差は認められなかった。これに対し、尿中総アミラーゼは、血清アミラーゼ上昇よりも遅れて徐々に高くなり、15Gyならびに20Gy照射時には24〜48時間後に最大値を示したが、10Gy照射では48〜72時間後に、5Gyでは96〜120時間後にそれぞれ最大値を示した。すなわち、耳下腺の吸収線量が小線量と大線量とでは、尿中総アミラーゼ活性の最大値発現に時期が異なることが明らかになった。このことは、耳下腺腺房細胞の、照射による細胞死の発見の機構が、小線量と大線量とでは、異なることを示唆するものである。CHARTによる損傷耳下腺の糖代謝の変化を画像化については、ラットにグルコースの類縁物質であるフロロ-2-D-デオキシグルコースを経静脈的に投与した後、耳下腺にX線を照射した。その後、フッ素核のMR信号を採取し、このMR信号に基づき、耳下腺の糖代謝変化の画像化を進めている。
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