研究課題/領域番号 |
09671921
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岸 幹二 岡山大学, 歯学部, 教授 (30033202)
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研究分担者 |
春木 隆伸 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (80263599)
上山 吉哉 岡山大学, 歯学部, 助教授 (00168668)
若狭 亨 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (50191713)
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キーワード | 実体計測 / 下顎骨変形 / 顔面頭蓋発育 / 立体模型 / CT3次元像 |
研究概要 |
3次元CT像は通常のX線画像に対し、複雑な顎顔面頭蓋の立体的解析に極めて有効と考えられる。CRT上で任意の方向、角度による観察、cutting機能による顎顔面頭蓋骨内側からの構造の計測、構造の把握も可能である。さらに、CT画像情報から得られた光硬化樹脂三次元実体模型を作成すれば、立体解析は容易となる。 下顎骨変形の顔面頭蓋発育への影響についての本研究において実体模型の再現性臨床と精度を確認するため、乾燥頭蓋上で種々測定項目を設定しCT像、3次元CT、実体模型上において各々の計測値を比較した。3次元CTの計測においては2点間の計測誤差に相当する以上に計測点の設定による因子が大きく、計測結果に相当のばらつきがみられた。従って、実体模型計測は3次元CTよりも計測測定設定が容易でしかも誤差が少ない結果を得た。2次元X線写真下の測定(セファロ分析等)よりも実体模型の方が容易であり、しかもセファロでは不可能な計測点の設定が可能であった。実体模型の材料となる紫外線硬化樹脂(デソライトSCR-300)のモノマーの比重は1.08Dm、樹脂の比重は1.15DPであった。硬化前後の寸法変化については硬化時の容積収縮は6.09%、線収縮は2.03%であった。立方体の生成過程において積層法を用いるため,縦方向の因子よりも、線収縮による影響をより考慮すべきと考えられた 臨床例として両側性筋突起渦長症2例と小顎症を伴った片側性顎関節癒着症1例について、三次元CT像と作成した実体模型の計測を行った。その結果、CT3次元像においても見過ごされていた筋突起と頬骨弓接触部に形成された骨の膨瘤と陥凹を実体模型上で確認することができた。すなわち実体模型上で筋突起と周囲解剖学的構造との関係をより子細に知ることができた。 顎骨変形及び筋突起過長のメカニズムについては顎関節癒着側の筋突起が対側に対し極めて過長であった計測結果から、開口傷害の発現が筋肉の緊張を惹き起こし、筋突起の過長に関与するばかりでなく、もともと変形を伴った周囲解剖学的構造そのものも開口障害を惹き起こし、過長を促進する可能性が示唆された。
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