研究概要 |
頭頚部癌の放射線治療では多分割照射の導入に加え、化学療法を併用することによって局所制御の一層の向上を目指す傾向にある。我々は、CDDPを用いたいわゆるneoadjuvant chemotherapyに引き続いてhyperfractionated radiotherapyを行う方法により、初期治療成績の検討を行った。全例は33例で、2年以上経過を追うことのできたのは22例であった。病期はT1,4例;T2,12例;T3,3例;T4,14例であった。年齢は38-81才、男女比28:5であった。化学療法はCDDP+PEP,22例、CDDP+5FU,11例で、放射線治療は化学療法に続いて1.2Gy x 2/day(4-5 hours interval)を原則として行われた。総線量は59.6-90Gyであった。 原発巣に対する一次効果:効果判定は放射線治療後6週で行われ、28/33でCRが得られた(T1,4/4;T2,12/12;T3,3/3;T4,10/14)。2年以上経過例22例の成績:局所制御については、T1及び2症例ではすべて最終経過観察時までCRであった。T3及び4症例では13例中6例のみがCRで、再発は7例(T3,1例;T4,6例)であった。2年局所制御率はT1・2 100%,T3・4 53.8%であった。生存率については、原病死が7例、他病死が2例で2年生存率はT1・2 75%,T3・4 52.7%であった。 これまでの検討では、本治療方法の原発巣に対する一次効果は従来の方法に比べ良好で、特に早期例に対して有効と考えられた。しかし、進展例ではCR率の改善が必要と思われた。今後は、早期例に対してはQOLの改善のために線量の低減を、また進行例に対しては同時化学療法の併用あるいは手術の効率的併用が必要と考えられた。
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