研究課題/領域番号 |
09671923
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉浦 一紀 九州大学, 歯学部, 講師 (20210643)
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研究分担者 |
湯浅 賢治 九州大学, 歯学部, 講師 (40136510)
中山 英二 九州大学, 歯学部, 助手 (60172467)
徳森 謙二 九州大学, 歯学部, 助手 (40253463)
田中 武昌 九州大学, 歯学部, 助手 (30163538)
河津 俊幸 九州大学, 歯学部, 助手 (20294960)
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キーワード | 標準ファントム / 歯科用デンタル画像 / 診断能 / 検出能 |
研究概要 |
本研究においては、従来のフィルム法とデジタル画像診断システムとの画像特性および診断能の相違を明らかにすることができ、さらに、デジタル画像診断システムにおける最適撮影条件を決定することができる国際標準ファントムを作成することを目的とし、今年度は、昨年度作成したファントムをフィルムおよび各種デジタルシステムの画質評価に応用した。 1. 最適撮影条件におけるフィルムとデジタルシステムの画像特性の比較 昨年度作成したファントムを用いてデジタルシステムにおける最適撮影条件を決定し、ホールの描出の様相をフィルムおよびデジタル画像で比較したところ、フィルムにおいては、2〜3mm厚のステップで検出可能ホール数が最大となり、デジタルシステムにおいては、いずれのシステムにおいても、最も薄い1mm厚のステップで観察ホール数が最大となり、フィルムにおける照射不足画像の像に類似した。さらに、デジタルシステムにおいては、3mm厚以上のステップにおける検出可能ホール数がいずれのシステムにおいてもフィルムより劣っており、グレイ値の高い(不透過性の強い)部位における画質がフィルムより劣っていることが示唆された。また、この領域の検出可能ホール数の減少の影響により、ファントム全体における検出可能ホール数もフィルムより少なかった。 2. デジタルシステムにおける線形コントラスト強調の影響および線量低減効果 上記により決定されたデジタルシステムの最適条件画像において線形コントラスト強調を行ったところ、Sens-A-Ray systemを除くすべてのデジタルシステムでホールの描出能がフィルムを上回った。このことより、適切な画像処理を行うことにより、デジタルシステムではフィルム以上のコントラスト情報が得られることが期待できる。 同様の線形コントラスト強調を最適撮影条件より少ない照射線量にも適用し、フィルムと同等のホール数が観察される最小照射線量をデジタルシステムにおける最小照射線量としたところ、Sens-A-Ray systemを除くすべてのデジタルシステムにおいて、フィルムと比較して照射線量を著しく減少させることができた。 以上のように、デジタルシステムにおいては、階調処理を行わない状態では、不透過性の強い部分の描出能がフィルムよりも劣っているが、適切な階調処理を行うことにより、フィルムと同等以上の描出能を得ることが可能であり、患者の被曝線量の低下も可能と思われる。
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