1、 頭頸部領域でFDG-PETを施行すると、腫瘍領域ばかりでなく非腫瘍性病変や、正常と思われる部位にもFDGが集積することをしばしば経験する。これらは、スポット状であるため転移性リンパ節との判定が極めて困難でありFalse positive rateを上昇させる原因となる。今回我々は、CT/MRIとPETをコンピューター上で重ね合わせ、非腫瘍性のFDG集積部位を解剖学的に固定し、どのような部位に集積されやすいのかを検討した。 2、 対象症例14例について、リンパ節様FDG uptakeの見られる部位を解剖学的に同定した。SUV(RIの取り込み量を体重あたりで平均化した値)2.0以上を対象とした結果、頸椎への集積は43%と高頻度に出現し、上顎洞・鼻腔底、口蓋扁桃、耳下腺という順で少なくなった。またSUVも同様の順であった。転移性リンパ節のSUV(3.7)と頸椎のSUV(3.1)は近似していることから、SUVの数値によって両者の区別は困難であることがわかった。CT/MRI上ではこれらの部位に明らかな病的所見は認められなかった。 3、 以上の事からSUVだけで転移性リンパ節を区別することは極めて困難であることがわかった。口腔底癌や歯肉癌の症例で咽頭部へ腫瘍が進展していることが予想される場合、口蓋扁桃部でのFDG uptakeは特に注意しなければならないことがわかった。同様に舌癌や上顎洞癌の場合には、上顎洞・鼻腔底でのFDG uptake上昇がその進展範囲の診断を誤らせる可能性があることがわかった。
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