18F-2fluoro-2deoxyglucose(FDG)を用いたPET(positron emission tomography)は、悪性化に伴なう細胞の糖代謝亢進を画像としてとらえる点で他の形態的画像診断とは異なる診断法である。しかもPETは99mTcや67Gaをトレーサーとして用いた従来のシンチグラフィーと比較し、病巣に対する特異度や感度にすぐれ、空間分解能が格段に上昇している。しかしながら実際、口腔領域でPETを施行してみると、FDGの集積部位の解剖学的な同定が極めて困難であることや、癌病巣とは思えないような部位にもFDGが集積することを経験する。今回我々は、PETから得られた画像データーをCTのスライスに合わせて再配置し、PETとCT像の重ね合わせ像を製作、その際の距離的な誤差を調べた。さらに本方法を利用しFDGの擬陽性集積部位の臨床的評価を行った。 舌や上顎歯肉、上顎洞に原発巣を持つ患者を対象に、CTとFDGを用いたPETを施行し病巣の検索を行った。これら7例のうち6例は画像診断や臨床所見から頸部の所属リンパ節転移があると診断された。PET画像の解剖学的同定を目的に、小さなRIマーカーを人中と両側耳朶の下に装着しPET検査を行った。それぞれの画像は、コンピューター上で合成された。 PETとCTの画像合成は全ての症例において行われ、データの再配置による誤差を求めた。その結果、誤差は平均2〜5mmという精度であった。また画像合成により、FDGは腫瘍部位に集積するほか、口蓋扁桃にも集積する可能性があることがわかった。 外付けRIマーカーによるPETとCT画像の合成は、非侵襲的であり通常の検査として行うことが可能で、頭頸部癌患者の治療や経過観察にとって有用と思われた。
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