研究概要 |
10年度は在宅診療において、矩形コリメータ、防護シェード、防護シートを応用することにより、X線撮影室が黒い場合の術者被曝軽減ならびにCCDセンサの初期診断の有効性について検討を行った。 【材料および方法】X線撮影室が無い場合の術者散乱線被曝を想定し、従来のフィルムを用いた方法および防護策を講じた場合の散乱線の軽減度合いを測定した。被写体には京都科学人骨埋入開口アクリルファントムを用い、X線装置はヨシダREX(60kV,焦点・コーン断端距離20cm,断端直径52mm)線量計はRadcal社MOD 10×5-1800、CCDセンサはCDR-Ltypeを用いた。矩形コリメーターは25mm×18mmの開口を持つ鉛製絞りでコーン断端部に装着しCCD保持具と一体となったものであり、照射野は21%になる。防護シェードは直径40cmの円形で、0.07mmPbの含鉛ビニール製で中心にコーンを通す穴があり、コーン中心に照射部位を覆うことが出来る。また防護シートは50×100cm,0.3mmPbで患者の枕元に敷くもので直接線の遮蔽効果も兼ねている。 【結果】下顎臼歯部撮影の測定では、照射野より50cmの位置での散乱線被曝は、Eタイプ・フィルムからCCDにする事により約30%に減弱し、さらに矩形コリメータを使用するとその13.6%になり、さらに防護シェードによりその20%にする事が可能で、1枚あたりの散乱線による被曝線量は5.2×10^<-10>C/kgであった。また追加実験によりCDR-Ltypeは画像面積が大きく、初期診断にも有効であることが分かり、X線CCDセンサを用い、矩形コリメータ、防護シェード、防護シートを応用すれば、在宅診療でも安全で有用なX線診査が可能であることが分かった。
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