研究概要 |
1.歯科診療所で使われるために開発されたデジタルX線画像診断システムでは,X線センサーで得たデータを各ピクセルごとに10から16bitで量子化する。そして,ユーザーは8,10または12bit,すなわち256,1024または4096階調というフルスケールを有するデータを扱うことができる。しかし,一般的なパソコンで表示できる階調は8ビットであるので,ビットを落とすアルゴリズムが適切でないと使いにくいシステムになってしまう可能性がある。しかし,濃度補償機能等の様々なデジタル画像処理を有効に働かせることもできるはずである。そこで前年度に引き続いて,このようなソフトウェアの特徴について,回転パノラマX線撮影用のシステムを中心に4機種を用いて検討した。 2.今年度は,イメージングプレートを利用してデジタル化するシステム2機種,CCDに蛍光体とテーパード光ファイバーを組み合わせたものをX線センサーとする1機種における画像処理について検討した。またFCR(富士メディカルシステムズ)で得られた画像とも比較した。各システム専用の画像処理ソフトウエアの他に,汎用画像処理ソフトウエアImage-Pro Plus(Media Cybernetics,USA)を使用して解析した。 3.Image-Pro Plusで画像データのヒストグラムを表示すると,各システムで採用された量子化bit数で示されるスケールの全部あるいは一部分に分布した。このヒストグラムを基にユーザー用データを作成する場合,階調数を減少させるために複数のピクセル値にひとつのディスプレイ濃度値を割り当てる。このような階調処理は場合によってはその分解能を下げていると思われた。またシステムによって画像に含まれる周波数成分の違いが生じていたが,bit数を減少させるときにソフトウエア的により適切な処理ができると考えられた。 4.画像がいつでも適切なコントラスト,ブライトネス及び空間周波数分布をもってディスプレイに表示されて,ユーザーがさらなる画像パラメータの変更を必要としないような画像処理は,ユーザーインターフェースとして重要な機能である。高次bit数で量子化された画像データを処理してディスプレイ表示する方法が工夫されている。汎用画像処理ソフトウエアを使って,bit数を減らす際の適切な処理方法について検討できた。
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