研究概要 |
無ガンマグロブリン血症を示すaly/alyマウスに、抗原を投与して抗原提示からT/B細胞による抗体産生誘導のどのステップが障害されているかを検索して、aly/alyマウスにおけるグロブリン産生障害のメカニズムを明らかにすることを目的に実験を行った。 1、免疫組織学的検討:cholera toxinとbovine serum albuminを経口投与後に脾臓および肝臓と腸管、唾液腺、肺のリンパ球を免疫組織学的に検討した結果、表面抗原の解析からT細胞(Thy-1^+、CD4^+CD8^+)が浸潤が主体で、B細胞や抗体産生細胞は少なかった。さらに抗原を足踵や腹腔内に投与したが同様の結果であった。 2、FACS 解析:免疫後、脾細胞を回収し、各T/B細胞の表面抗原マーカーを用いて、非免疫マウスと比較した処、T/B細胞比率、各マーカーの発現頻度に大差はみられなかった。 3、リンパ球増殖能の検討:CD3とPNAの刺激により、Tymidineの取り込みを指標として、細胞増殖能を検索したところ、正常マウスとコロニー形成能が著しく弱く、増殖能の低下がみられた。 4、サイトカイン産生のRT-PCRによる解析:免疫後の脾細胞および肺から回収したリンパ球を用いてIL1.IL2,IL3,IL4,IL5,IL6,TGFβの各サイトカイン産生能を検討した結果、免疫後においてもIL2-mRNA産生が著しく低下していた。 以上の結果から、aly/alyマウスにおけるグロブリン産生異常にはサイトカイン産生の低下とくにIL2の産生低下が関与していることが示唆された。現在、aly/alyマウスおよび正常マウスを用いIL2添加して、reconstruction実験を行っている。成果の一部については9th International Mucosal Immunology,Sydney,Australia,1997にて発表を行った。
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