研究概要 |
画像診断分野において,画像形態の疫学的研究や画像病理学的研究には統計学的分析は不可欠で,統計学的に比較検討するためには多くの共通する画像・情報が必要である。我々は,パノラマ画像を標準パノラマ画像に変換させ,全ての症例を同一の共通画像で比較分析可能な標準画像変換法(NIK法)を考案した。 今回,この方法を実際の臨床症例,過去の症例に用いてパノラマ標準画像に変換し,フィルム上を計測する従来からの方法との差異や,顎骨浸襲範囲の分析,三次元断層領域を応用した3D化等の臨床応用,新分析法を検討した。画像取込み条件の変更:平成9年度の研究計画で,精度の高い画像を取込み、画像補正・標準化することは可能だが,莫大な時間と記録容量を必要とし、様々な病態とともに変化する病態を表示可能な単一高等条件で取り込むには時間的・事務的にまた保管容量的に限界がある。そこで、平成10年度において再検討を加えた。 その結果、10年度におけるパノラマ画像のスキャナーによる取込み条件を「288dpi」とし、病変の画像濃度領域を高中・低濃度の領域に分けて光源の光量を調節しそれぞれ、level-1(高)、level-2(中)、level-3(低)として取込む事とした。 これによって1症例での記録容量は、3画像で約540kバイトとなり300-600dpiでの取込みの1/2〜l/3の容量に押さえられ、結果的に画像病変の様々な濃度、形態変化に対応し広い表示能力を有する事となった。ただし、取込みには当然ながら3倍の時間がかかる。 過去の症例におけるパノラマ画像を標準画像へ変換し,発現部位・浸襲範囲をNIK法と従来からのフィルム上を直接計測したものとを比較し,精度・信頼度を検討した。理論的には、計測数値は実長に近づいた事になるが、変換操作での誤差が一定でないため、また補正変換の後に標準化変換の操作を加えた像はかなり劣化してしまい計測誤差を誘発する結果となった。よって、この変換計測法による1つの値としか言えない。画像情報通信を利用して,イメージ転送→分析→standardized image転送などの試用実験を行った。この変換計測値によるデータベースが構築されていけば一般臨床医からの画像も共通データのlつとして計算できるようになると考える。
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