研究概要 |
(1)血中ニフェジピン濃度の測定 東京医科歯科大学歯学部付属病院に来院したニフェジピン性歯肉肥大患者(responder)12名ならびに服用していても歯肉肥大の見られないnon-responder4名について、Probing depth,Gingival Index,Plaque Control Record,Gingival Hyperplasia Index(GHIと略す)を診査した。またニフェジピン服用期間、服用量、併用薬剤について問診した。ニフェジピン服用6時間後に血液を採取し、HPLCでニフェジピン濃度を測定した。その結果、GHIと血中ニフェジピン濃度の間に正の相関を示す傾向が見られた。今後標本数を増やし、統計処理を行う予定である。 (2)培養歯肉線維芽細胞のプロテオグリカン(以下PGと略す)合成へのニフェジピンならびに代謝産物の影響 健常者ならびにresponderの歯肉組織からoutgrouth法により得られた歯肉線維芽細胞を培養し、ニフェジピンならびに代謝産物を加え、48時間後、[3H]-glucosamineと[35S]-sulfateとで標識したPG量を測定した。その結果、健常者細胞に対してはニフェジピン、代謝産物ともに濃度依存的にPG合成は減少した。しかし、responderの歯肉線維芽細胞においては、ニフェジピンによりPGは増加した。代謝産物によっても同様の傾向が見られた。このことから、歯肉組織局所でニフェジピンならびに代謝産物がPG合成を増加させることにより、歯肉肥大が起こる可能性か示唆された。 健常者細胞に歯周病原性細菌(Actinobacillus actinomycetemcomitans,Porphyromonas gingivalis)のLPSを添加刺激し、ここにニフェジピンを加え、PG代謝に与える影響を調べた。LPS刺激によって、PG代謝は特に変化は見られず、ここにニフェジピンを加えた場合も有為差は見られなかった。今後は各種サイトカインとの関連も検討する予定である。
|