研究概要 |
平成9年度の研究では,ヒト・マウスのヘテロハイブリドーマの作製を予定していた.研究計画に従って,A.actinomycetemcomitansの5つの血清型を大量培養した後,超音波破砕抗原を調製した。血清型bの代表株であるY4株からは温フェノール・水抽出物を調製し,粗血清型b抗原とリポ多糖に分離した.粗血清型b抗原については,さらにポリミキシンBアフィニティークロマトグラフィーによって混入している微量のリポ多糖を除き,血清型b抗原として実験に用いた.当初の予定では,本菌に対して高い抗体価を示す患者の静脈血からリンパ球を分離しPokeweed Mitogenと血清型b抗原を加えて約5日間培養する予定であったが,所属大学の変更により患者からのインフォームド・コンセントが得られず,医局員のボランティアからの採血を行った.ATCCからの購入したヒト・マウスのヘテロハイブリドーマであるSHM-D33株(ATCC CRL1668)を培養しておき,血液から分離したヒトリンパ球とハイブリドーマの細胞融合を行った.数名のボランテイアから採取した血清中の本菌に対する抗体価はそれほど高くなかった。スクリーニングにはA.actinomycetemcomitansから調製した超音波破砕抗原を用いたが,20クローンから30クローン程度得られたハイブリドーマからはポジティブなクローンはほとんど得られなかった。来年度の研究では,再度,ハイブリドーマの作製を試みると同時に,過去に作製したマウスハイブリドーマから分子生物学的な手法によってそのモノクローナル抗体のイディオタイプ解析を行い患者血清中の抗体のイディオタイプ解析の一助とする計画も予定している。
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