研究課題/領域番号 |
09671950
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
保存治療系歯学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村上 伸也 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70239490)
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研究分担者 |
池澤 一彦 大阪大学, 歯学部, 助手 (80294114)
島袋 善夫 大阪大学, 歯学部, 助手 (50231361)
岡田 宏 大阪大学, 歯学部, 教授 (40038865)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | 歯周病 / 歯周組織再生 / セメント質 / 増殖因子 / CGF / ヘパリン親和性IGF-I様増殖因子 / IGF-I / 歯根膜由来細胞 |
研究概要 |
歯周組織再生が達成されるためには、セメント質新生は不可欠なステップである。そこで我々は、歯根膜細胞の増殖やセメント芽細胞への分化を促進すると期待される、セメント質に含まれる増殖因子に関して研究を行ってきた。これまで我々はセメント質中に含まれる主たる増殖因子としてセメント質由来増殖因子(CGF)を精製し、これが上皮増殖因子(EGF)や他の血清因子と相乗的に協調して歯周組織を構成する各種線維芽細胞の増殖を促進することを報告してきた。今回の研究ではまず、CGFがインシュリン様増殖因子-I(IGF-I)様の増殖因子であるが、同一の分子ではなく異なった分子量、部分アミノ酸配列、N結合型糖鎖修飾を有し、歯槽骨由来細胞に対してはIGF-Iより強い増殖能を示すことを明らかにした。次に、CGFとEGFによる線維芽細胞に対する相乗的増殖促進作用のメカニズムをこれらによって誘導されるサイクリンEおよびサイクリンE依存性Kinaseを調べることにより検討した。その結果、CGFおよびEGFの両者で誘導される高いレベルで持続性のサイクリンEとそれに相関したKinase活性が、両増殖因子による相乗的な増殖促進活性を引き起こす重要なシグナル伝達機構の一つであることが明らかになった。さらに、歯根膜組織由来の骨芽細胞様細胞によって産生されるIGF-Iの効果について検討した。通常、この細胞によって産生されるIGF-Iの量は有意だが微量であったため、IGF-I遺伝子を導入することにより定常的に相当レベルのIGF-Iを産生する細胞株を樹立した。その結果、この細胞は、コントロール株に比較してより高い塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)に対する感受性とアルカリフォスファターゼ活性を示した。また、これらの効果は充分量のリコンビナントのIGF-Iを培地に添加しても、コントロール株で完全には代償されなかった。以上、セメント質に含まれるIGF-I様の増殖因子であるCGFや歯根膜細胞によって産生されるIGF-Iは、歯周組織再生の過程において血清由来のIGF-Iとは異なった作用様式でより効果的な役割を果たしている可能性が示唆された。
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