研究概要 |
破骨細胞内刺激伝達機序の解析を目的に,本年度はLPS刺激ヒト破骨細胞前駆細胞内でのリン酸化されるチロシンキナーゼの同定を目標に,ヒト臍帯血より比重分離法にてwhite cell fractionを回収し,培養ののち分化した細胞層を回収,抗チロシンキナーゼ抗体にてリン酸化されているチロシンキナーゼの検出を行った。 その結果,未分化幹細胞から分化するにつれその細胞質中に多量のタロシンキナーゼの存在をみとめ,多核化した破骨細胞でも比較的多量のチロシンキナーゼが存在することが分かった。また細胞質分画のウエスタン・ブロット法にて再現性のある幾つかの異なった分子量(41,50,66,110,130kDa)のチロシンキナーゼの存在が明らかとなり,とくにP.gingivalis由来LPSで強く発現するチロシンキナーゼとして41および130kDaのバンドが検出され,これを日歯周誌39,313-323,1997にて公表した。 さらに現在,検出された各分子量のチロシンキナーゼの同定のために既存のチロシンキナーゼ抗体をもちいて各種バンドのチロシンキナーゼの解析を行っている。とくに,41および130kDaに対する抗体の反応性について検索しており,この同定作業が終了すればより精製度の高い(My10によるpanning,23C6抗体陽性細胞のみを回収予定)細胞を対象に同様の実験をし,当初の目標を達成できるよう継続検討中である。
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