研究概要 |
迅速かつ簡便に行えるDNAプローブ法を作製し,歯周炎患者への臨床応用の可能性を検討した。 DNAプローブは,Porphyromonas gingivalis ATCC33277,Actinobacillus acrinomycetemcomitans ATCC43718から抽出したDNAをNick translation法によって非放射性物質であるビオチンで標識し作製した.それぞれのプローブの反応性はdot blot法およびcolony blotによって調べた.短時間で簡便にできる方法として,24-well culture plateを用い、サンプルをプロットした1cm四方のメンブレンをそれぞれの試薬の入ったwellに順番に移し変え,100℃加熱のDNAプローブを直接10分間反応させ温度が自然に下降し、アニーリングするようにした後、洗浄は75℃の1.2×SSC/0.1%SDSを用いた洗浄効率を高めるなど,各処理時間を短縮した。全ての反応は約2時間で終了した. 作製したDNAプローブの他の菌種との交叉反応を調べた結果,P.gingivalisに関しては主たる他の口腔内細菌とは全く交叉反応を示さず,高い特異性を示した.A.actinomycetemcomitansに関してはHeamophilus aphrophilusと若干の交叉反応を示したが,洗浄方法の改良でクリアできた.検出感度は両菌種とも10^4であった。 次に,実際この方法を用いて,プラークサンプル中の両菌の検出を培養法と比較した結果,P.gingivalisの一致率は88%で、A.actinomycetemcomitansでは67%であった.A.actinomycetemcomitansに関しては,培養法で検出されない部位で陽性を示した部位が多かった. このように臨床的に応用できることが明らかになったため,現在様々な病型の患者からサンプルを採取し,データを集めている.
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