研究概要 |
目的 歯周炎局所でのT細胞の挙動を試験管内で再現する実験培養系を用いると,P.gingivalis菌体とともに培養した末梢血T細胞は,ナイーブタイプのものからメモリータイプのものへと表現形質をかえる。この応答は,抗HLA-DR抗体で抑制されるので,P.gingivalis菌体成分の抗原認識によってT細胞の活性化が起こっていることを示している。そこで,この抗原が何かであるかについての検索を行うことを本研究の目的である。 方法 P.gingivalis FDC381菌体を,SDS-PAGEカラムによって分子量で分画した画分を用い,HLA遺伝子型のあきらかな健常者由来の末梢血単核球を活性化し,その増殖応答をBrdU取り込み量によって測定した。本年度は,分画成分に混入した細菌ゲノムDNAの影響を評価するため,P.gingivalis菌体からphenol-chloroform抽出を行って得た精製ゲノムDNAに対する末梢血単核球の増殖活性を検討し,あわせてその際のTNF-alphaおよびIL-6産生量を測定した。 結果および考察 末梢血単核球は,精製ゲノムDNAに対しては,弱い増殖活性しか示さなかった。また,調べた限りのサイトカイン誘導能も弱かった。このことから,T細胞活性化に関わるP.gingivalis菌体成分は,タンパク由来のもの,およびゲノムDNA以外の非タンパク成分であると考察された。
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