研究概要 |
チタニウム製インプラントを模した3倍大モデルを製作し,アラルダイトに埋入した.コントロールとしてインプラント周囲にシリコン印象材を0.2mmの厚みで塗布したモデルを作製した.その上に焼付ポーセレンクラウンと硬質レジンクラウン(Conquest),およびメタルクラウン(白金加金)を作製し,スーパーボンドにてセットした.これらの上部構造の咬合面上に金属球(直径10mm,重さ g)を落下させた.クラウン側面とインプラントネック部側面にストレンゲージを貼付し,インプラントの長軸方向の動的歪みを測定,記録した.その結果,クラウン側面では硬質レジンの方が軸方向の延び縮みが大きかった.しかし最大の歪みを示すまでの時間はポーセレンクラウンの方が早かった.インプラントネック部ではポーセレンの場合に大きな歪みを示した(硬質レジンに比べ,約2倍).またポーセレンではインプラントネック部での振動が速やかに消失していくのが認められたが,硬質レジンでは消失までに長い時間を要した.これらのことから硬質レジンでは咬合面に加えられた衝撃力が上部構造内で幾分吸収され,インプラントを通じて骨内に伝わる衝撃波を緩衝していることが明らかとなった. 次に,インプラント周囲にシリコンラバー(厚さ0.2mm)を介在させて,上部構造にポーセレンクラウンを装着したモデルにおいて,同様の鋼球落下試験を行った.その結果,オッセオインティグレーションを模したインプラントでポーセレンクラウンを装着したモデルで比較すると,ポーセレン部の歪みは両モデルで違いが認められなかったが,インプラント部ではラバーが介在した場合に,やや大きくなった. 現在得られた衝撃に対するデータを3次元有限要素法モデルへトランスファーし、咀嚼時の上部構造と骨内部の応力を比較検討しているところである.
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