研究概要 |
上顎無歯顎堤の前歯部にフラビーティッシュを有する症例に対しては,補綴学的対処法として,フラビーティッシュの印象採得に適した印象材や印象採得法についての実験結果を応用している.さらに,このような補綴学的対処法のみでは十分な機能回復が困難であると判断される症例に対しては,外科学的対処法として,顆粒状ハイドロキシアパタイト・セラミックス・インプラントの埋入による顎堤改造法を適用し,良好な臨床成績を得ている.しかしながら,フラビーティッシュについては,顎堤改造法適用後も残存し切除する場合が多い. このようなフラビーティッシュの診査は触診に頼られており,適切な診査機器がなく,診断基準も明確になっていないのが実状である.そこで,本研究の目的は,フラビーティッシュの客観的評価が可能な診断装置を試作し,その有用性を検討することである. フラビーティッシュを連続槌打する装置と槌打により変形したフラビーティッシュの変位量を計測する装置とを一体化した変位計測部と,その変位を波形として観測・解析する変位解析部から構成されるフラビーティッシュ診断装置を試作した.この試作装置を用いて,骨支持が異なるフラビーティッシュの状態を想定した27種のシミュレーションモデルならびに患者のフラビーティッシュ部の計測を行い,観測された波形の最大振幅と減衰時間により評価した. 試作フラビーティッシュ診断装置は,27種のシミュレーションモデルにおいて,その違いを客観的に識別することができた,また,臨床応用も可能であることが示唆された.今後,臨床例のデータを集積するとともに試作装置の改良を行う予定である.
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