研究概要 |
歯質あるいは金属と強固に接着する接着牲レジンが開発され,種々の方法により各治療分野で頻繁に応用されるようになった.同様に有床義歯補綴分野においても金属床義歯への応用が試みられている.レジン床義歯に比較して床の一部に金属を使用した金属床義歯は,剛性が高く合理的な設計が可能であり,適合性や熱伝導性が良いため異物感が少ないとされ,さらに,残存歯周組織に対しても為害作用が少ない等,数々の優れた利点を有している.この金属床義歯に接着技法を応用することにより,義歯の強度が一層向上し,メタルフレーム自体の構造をより単純化することができ,さらに合理的な義歯の設計が可能となる.しかし,生体親和性が良好な貴金属合金と,機械的性質に優れた加熱重合型レジンとの化学的な接着法は現在に至るまで確立されていない.そこで,本研究はこの点を解明するとともに,金属とレジンとの接合部(フィニッシングライン)に相応しい形態を検索することを目的とした.平成9年度では,完成した試験片を恒温層に浸析後,色素侵入試験あるいは剪断試験をおこなった.その結果,貴金属合金と接着性レジンとの接着に際し,良好な接着関係を得るための被着貴金属合金には金銀パラジウム合金を使用すること,その際の表面改質法には,Adlloy改質法が有効であることが判明した.平成10年度では,これらの結果をもとに,さらにサーマルサイクル試験による検討を加え,有床義歯フィニッシングライン部の漏洩防止に有効なフィニッシングライン形態の検索をおこなう予定である.
|