研究課題/領域番号 |
09672002
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
荒木 吉馬 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (20005036)
|
研究分担者 |
原口 克博 北海道医療大学, 歯学部・第2保存学, 助手 (80198902)
三浦 宏子 北海道医療大学, 歯学部・口腔衛生学, 講師 (10183625)
斉藤 設雄 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (70137537)
久保田 稔 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (10005100)
|
キーワード | 接着 / 象牙質 / 酸処理 / コラゲナーゼエッチング / ラマン分析 |
研究概要 |
今日の象牙質に対する修復用レジンの接着技法は、象牙質表層の無機質を酸類で除去し、コラーゲン線維を露呈させ、そこにレジンを浸透させて数μmのいわゆる樹脂含浸層を形成させるものである。本研究では、これとは逆に象牙質表面の有機質、特にコラーゲンを選択溶解させ、接着界面としてレジンとの接着性の高い無機質層のみを残す象牙質処理法の効果を検討した。処理液として、コラゲ-ナーゼ、ペプシターゼなどタンパク分解酵素を主成分に用いた。処理後の表面をSEM観察およびマイクロレーザーラマン分光分析によって調べた。 健全な象牙質表面のラマン分析の結果、歯質アパタイトりん酸根の960cm^<-1>の散乱ピークが認められたが、その強度はエナメル質よりも低かった。コラーゲン由来の蛋白アミドI振動が1660cm^<-1>に、メチレンによる強い散乱が2930cm^<-1>、1450cm^<-1>に認められた。メチレンの散乱ピークは、無機質と結合した状態を反映して、いずれもブロードなピークであった。また、30%りん酸で2分間または20%クエン酸で1分間処理したものは、無機質が選択的に溶解され、アパタイトのピーク強度がメチレンのピーク強度に比較して低くなった。さらに、これら酸類による処理では、コラーゲンの変性は少なかった。 有機質溶解法として、10%次亜塩素酸ナトリウム処理およびコラゲナーゼとトリプシンの混合液で処理を行ったものは、表層有機成分の減少が認められたが、なお、コラーゲンが残存していた。無機質と結合した有機質の溶解をさらに促進するために、りん酸処理とコラゲナーゼ処理の併用と次亜塩素酸処理とコラゲナーゼ処理の併用を行った結果、前者よりも後者の方がより効果的であった。しかし、いずれも処理に30〜60分程度要することからさらに有効な方法を検索する必要が認められた。また、象牙質表面の処理効果は、象牙質のエナメル/象牙境部分や髄腔部分など部位によって異なることが判明した。
|