研究課題/領域番号 |
09672006
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
藤島 昭宏 昭和大学, 歯学部, 講師 (50209045)
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研究分担者 |
宮崎 隆 昭和大学, 歯学部, 教授 (40175617)
鈴木 正子 昭和大学, 教養部, 助教授 (90053892)
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キーワード | グロー放電 / 表面処理 / 表面改質 / 接触角 / 接着強さ / 滅菌 |
研究概要 |
本研究では、被着面に対する表面処理法としてグロー放電処理法をチタン製歯科補綴物に適用するため、温度変化、濡れ性の変化、表面清浄効果、歯科用接着システムにおける接着強さの変化、接着性モノマーの吸着状態から評価した。グロー放電処理には、周波数20kHz、出力電圧6.5kV(max)の高周波・高圧電源を有する、当教室試作のグロー放電処理装置を用い、チャンバー内を0.2 Torrまで減圧した後、0.4 Torrのアルゴン雰囲気中で、グロー放電処理を一定時間行った。チタン板は、グロー放電処理により約20℃上昇したが、長時間の処理はチタン表層を酸化させた。接触角は未処理の場合の51°から、4〜5分間のグロー放電処理後で9°以下に低下し、短時間で顕著な濡れ性の向上が認められた。グロー放電処理後の細菌培養試験では、グロー放電処理により顕著な付着させた口腔内細菌のコロニー数の顕著な減少が認められた。SEM像において、グロー放電処理後には表層に付着した有機物が消滅し表層の清浄化が認められたが、完全な滅菌はできなかった。4種類中、3種類の硬質レジンシステムで接着強さ増加が見られたが、有意差は認められなかった。接着性の発現には、濡れ性の向上よりもプライマーに含有される機能性モノマーの吸着状態ならびに結合様式が大きな影響を及ぼしたためと考えられた。FT-IR-RAS分析からは、チタン表層に吸着した接着性モノマーに由来するピークがスペクトルに認められたが、吸着レジン量はグロー放電処理と未処理を比べ差は見られなかった。今回の実験から、グロー放電処理は歯科補綴物に対する有効な表面処理法の一つであることが認められたが、グロー放電処理を歯科臨床に応用するためには、さらに試料保持方法、処理条件等に改良の必要性が認められた。
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