可能な限り限り接着界面で、かつ象牙質の構造(結晶学的)の違いが接着強さのに及ぼす影響を調査するため、引張り試験による、微小接着強度測定装置(仮称)の開発を行ってきた。結晶構造との関連性を解析するため、接着部分の面積は約2mm^2を考えて、そのため改良型万能試験機を購入し、目的に合致したアタッチメントも完成した。 またその面積で実験を行い、従来採用していた剪断接着試験の結果に比べ、ほとんどの材料で2〜4倍程度の接着強さを示した。これは微小面積になったため、本研究者が注目している結晶構造が均一化したために起こる現象とも考えられるが、接着強さに影響すると考えられる、微細部の結晶構造の違いについては未だ考察できる結果を得ていないのが現状である。本実験に用いている微小部・超薄膜X線回折装置では非破壊的に試料表面の結晶構造を解明することが出来ることはもちろん、微小部(直径1μm)で、数十Aの厚さからの結晶構造を知ることが出来る。今後試料の測定方法、測定条件を更に検討し固体差による接着強さの違いの原因や健全歯質との関係を検討する予定である。近年報告されている被着面積は、接着界面の欠陥の影響を出来る限り排除するためほとんどが1mm^2になってきた。本研究者もそれを採用したが、欠陥の現象だけとは考えられないが面積に伴い、接着強さも増加した結果を得ている。 さらに、接着部の構造を解析する方法としてNano-indentation hardoness testがあり、この方法で数種類の歯科用接着剤を応用した場合の接着界面の超微小硬さを測定した結果、構造の違いに起因すると考えられる結果、すなわちボンディング剤、樹脂含浸層、脱灰象牙質を硬さで分解することが可能であった。界面の形態的観察、結晶構造、機械的性質を更に追求する予定である。
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