機能性モノマー処理面における表面自由エネルギーや機能性モノマー分子の溶解性パラメーターと接着強さとの相互の関係、さらに、アパタイトカラムを用いた接着機能性モノマーのアフィニティークロマトグラフィーと溶解性パラメーターとの関連を検討することを目的とした。研究者らは、セラミックスの接着プライマーであるシランカップリング剤の研究において、親水性である3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランと高疎水性のポリフルオロアルキルトリエトキシシランとを混合し、接着プライマーとして用いると、一定の混合割合において、高い接着強さと高い耐水耐久性を示すことを見出した。そして、接着強さと処理表面の表面自由エネルギーとの間に相関性があることを認めた。各シランおよびに混合系のシランならびに接着剤であるメタクリル酸誘導体の溶解性パラメーターの値を算出し解析した。処理層と接着剤との溶解性パラメーターの数値が近いものほど、高い処理効果を示した。しかしながら、溶解性パラメーターだけが要因ではなかった。また、メタクリル酸のn-アルキルエステルの同族化合物の溶解性パラメーターの値は、それら化合物の炭素数との間で相関性が認められたが、他の化合物ではあまり良い相関性は見出せなかった。一方、エステル位にアルキル基、ヒドロキシアルキル基、そしてベンジル基など様々な官能基をもつ種々のメタクリル酸誘導体の溶解性パラメーターは、それら化合物の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)から得られたの保持時間に対し高い相関性が認められた。ただし、側鎖をもつ化合物には相関性がなかった。また、HPLCの高分離を得るための溶媒の選択に溶媒の溶解性パラメーターの値は有効であった。
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