顎関節に機能異常が認められない者10名をコントロールとして、上下顎歯列の印象採得、咬合採得、および歯列模型の製作を行った。同時に、被験者の咬頭嵌合位、スキューバ・ダイビング用のマウスピース装着時の挙上位、咬みしめ時、以上の3顎位の同時多層断層撮影を行った。また、マウスピースを装着させ、強く咬みしめ時、下顎頭が腔内で変位する経過を確認するため、MRI撮像を行った。多層断層撮影およびMRIからの所見では、下顎頭の挙動は一定せず、多様化した。一般的に中心咬合位での咬みしめでは、約1mm程度の下顎頭の変位が認められるが、このように多様化したことについては、スキューバ・ダイビング用マウスピースのバイト・プラットフォームが43/34部の2点であること、材質が厚く柔らかいことに起因するのではないかと現時点では推察される。 マウスピース咬みしめ時における下顎の変位を、ナソヘキサグラフを用いて記録したが、被験者ごとに、ヘッドバンドとクラッチの関係に差異が生じ、誤差が大きいため、現在は、上下顎それぞれの歯列に治具を固定して計測を行うことから、より精度に優れたMMJ1を用いて計測を行っている。MMJ1に用いる治具は、被験者の歯列模型でワックスアップを行い、鋳造、研磨を行って製作した。データはMMJ1よりADコンバータを経てコンピータに入力されるが、解析にあたって、現在、ソフトを開発中である。
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